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ダウン症候群において脳機能異常が起こる仕組みの理解へ前進~新規ダウン症モデルマウスの脳発生異常を報告~

ポイント

  • 21 番染色体※1が3倍体になるダウン症候群(ダウン症)において、脳の発生が異常になる仕組みを発見した。
  • これまででダウン症を最も良く再現していると考えられる TcMAC21モデルマウスにおける脳の発生異常を世界で初めて報告した。
  • ダウン症において脳機能の異常が発症する仕組みの理解に寄与すると共に、将来の治療戦略の確立のための重要な指針の提供が期待できる。

概要

富山大学学術研究部医学系の倉林伸博講師(当時)と高雄啓三教授は、公益財団法人 東京都医学総合研究所の吉種光プロジェクトリーダー、鳥取大学医学部生命科学科/染色体工学研究センターの香月康宏教授と共に、ダウン症のモデルマウスにおける脳の発生異常の解析を行った。すなわち、これまででダウン症を最も良く再現していると考えられるTcMAC21マウスのモデルを用いた解析により、このマウスの脳の発生異常がヒトのダウン症で認められる脳の特徴と類似していることが明らかとなった。今後、このマウスを用いたダウン症研究が発展することにより、ダウン症において脳機能障害が引き起こされる仕組みの解明や、その症状改善のための治療法?治療薬の開発が加速することが期待される。

用語解説

(※1)染色体
細胞の中にあり、複数の遺伝子が存在する構造体の名称。1本の染色体には数百~数千の遺伝子が含まれており、人間の細胞は通常、23対(計46本)の染色体をもつ。

研究内容の詳細

ダウン症候群において脳機能異常が起こる仕組みの理解へ前進~新規ダウン症モデルマウスの脳発生異常を報告~[PDF, 350KB]

論文情報

論文名

Neocortical neuronal production and maturation defects in the TcMAC21 mouse model of Down syndrome
(ダウン症モデルマウスTcMAC21の大脳新皮質における神経細胞の産生や成熟の異常)

著者

Nobuhiro Kurabayashi, Kazuki Fujii, Yuta Otobe, Shingo Hiroki, Masaharu Hiratsuka, Hikari Yoshitane, Yasuhiro Kazuki, and Keizo Takao
(倉林伸博、藤井一希、乙部優太、廣木進吾、平塚正治、吉種光、香月康宏、高雄啓三)

掲載誌

iScience

DOI

https://doi.org/10.1016/j.isci.2023.108379

お問い合わせ

富山大学学術研究部医学系
教授 高雄啓三

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