低出力レーザー治療で痛みを伝達する神経活動を抑制することを動物実験で実証
研究のポイント
- 皮膚の上からレーザーを照射することで痛みを伝える神経細胞の活動を抑制することを、電気生理学的手法※1を用いた動物実験で検証しました。
- レーザーは皮膚で約90%減衰し約10%が坐骨神経に届くこと、約10%のレーザーでも痛みを伝える神経活動を抑制することを明らかにしました。
- 経皮的レーザー照射の作用メカニズムや現象の詳細が解明されることで、低出力レーザー※2のさらなる普及や適応疾患の拡大が期待できます。
概要
富山大学学術研究部薬学?和漢系 応用薬理学研究室の歌大介准教授、帝人ファーマ株式会社の石橋直也研究員らの研究グループは、皮膚の上から坐骨神経にレーザーを照射(経皮的にレーザーを照射)すると、痛みとして感じられる強い刺激(痛み刺激)による神経活動のみが抑えられることを動物実験で実証しました。また、坐骨神経におけるレーザーの強さは皮膚上の約10%に減少していたにもかかわらず、坐骨神経に直接レーザーを照射した場合と効果は同等であることを見出しました。
用語解説
(※1) 電気生理学的手法
神経細胞の電気信号を直接記録する手法です。感覚の知覚や運動などは、神経細胞の電気信号により制御されています。本研究では、神経細胞の近くで生じる微弱な電気的変化を記録しています。
(※2) 低出力レーザー治療
疼痛部位とその周辺部位に温度上昇が小さい低出力のレーザーを照射し、疼痛の緩和を行う治療法です。筋肉、関節の慢性非感染性炎症性疾患における疼痛の緩和を目的に、保険適用されています。
研究内容の詳細
低出力レーザー治療で痛みを伝達する神経活動を抑制することを動物実験で実証[PDF, 583KB]
論文情報
論文名
Relationship between Laser Intensity at the Peripheral Nerve and Inhibitory Effect of Percutaneous Photobiomodulation on Neuronal Firing in a Rat Spinal Dorsal Horn
著者
Daisuke Uta*, Naoya Ishibashi, Yuki Kawase, Shinichi Tao, Masahito Sawahata, Toshiaki Kume
掲載誌
Journal of Clinical Medicine
DOI
https://doi.org/10.3390/jcm12155126
お問い合わせ先
富山大学学術研究部薬学?和漢系 准教授 歌 大介
- TEL:076-434-7511(直通)
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